カーン ・ヒル ・ロック Caen Hill Locks
カーン ・ヒル ・ロックという閘門の情報を得る。水位の異なる運河(カナル Canal)を繋ぐシステムのことだ。
今までにも回転式ボートリフトの”フォルカーク・ホイール”や
階段閘門式の”ネプチューンの階段”や
アップダウン式ボートリフトの”アンダートン・ボート・リフト”などを訪ねてきた。
カーン ・ヒル ・ロックは連続閘門式(フライト・ロック flight lock)という今までと異なったシステムだ。是非見るべしと遣ってきた。
お目当てのパーキングの指示を間違えたらしくイギリスにしては珍しく荒んだ工場跡に入り込んでしまった。雨は強くなるばかりだ。
またしてもロックの西の外れに路上駐車と相成った。
カーン ・ヒル ・ロックはケネット&エイヴォン運河(Kennet and Avon Canal ブリストル港からリーディングのテムズ川まで)全長87マイルの内、
最後に完成した2マイルのロック群だ。最後ということは難所ということだ。2マイル(3.2km)の間の水位差が72mあり、
これを29のロックで通行するのだ。29のロックは3つのグループに分かれ、西の低い部分1.2kmに7つのロックがある。
次の1kmには16のロックが連続し、直線的に急勾配を上る。この部分がフライト・ロックといわれる。そして、次の1kmに6つのロックが置かれているのだ。
ここで壮観なのは1kmに16ものロックがひしめく光景だ(写真下左)。その傾斜振りがお分かりいただけるだろう。傾斜が厳しく連続しているので
ロックで流出する水量を確保するためにロックの横に大きな池が造られているのが特徴だ。拙文で説明するより
"Google Map"をご覧いただいた方がわかり易いだろう。
中央に櫛のように見えるのがフライト・ロックだ。地図左の”+”をクリックして拡大してみると運河やボートも見られる。
運河全体の工事開始は1794年で運用開始は1809年だという。カーン ・ヒル ・ロックの完成は1810年だから、その間はトロッコで荷物を運んでいたのだ。
しかし、20世紀始めには鉄道の開通で徐々に廃止に追い込まれ、放棄されていたのだ。20世紀終わりになり、主にボランティアによって回復したのだ。
カナルボートの旅に雨も平日も関係ないのだろう。沢山のボートがロックを通過し上って行ったり、下って行ったりしている。
16のロックを通過するのに3時間、29全部を通過するには5、6時間掛かるということだ。ロックを開けるためにバーを押している男性を眺めていると
「黙って見ていないで、手伝ってよ」と声が掛かる。冗談と分かっているが、妻が手伝うと大いに恐縮していた(写真上右)。「バーには3トンの重さが掛かる」ということだ。
岸辺に舫ってあるカナルボートの主はどこに出掛けたのか無人のようだ(写真下左2枚)。この雨にもかかわらずテントを張って釣りを楽しむ人もいる。
膝から下はずぶ濡れでそれを眺めて歩く日本人も相当に酔狂に写っているだろう。ここは晴れた日にゆっくり再訪したい。
このロックはカナルボートの運行だけでなく、カヌー 、釣り 、ウォーキング、サイクリングなどの観光資源として、
さらには大きな池を持つことから水鳥やトンボなどの野生生物の保護にも役立っているのだ。
Address | Rowde, Devizes, Wiltshire |
Telephone | - |
Web Site | Caen Hill Locks |
詳細はWeb Siteなどでご確認ください。
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